元気なホタルイカはクロダイの天敵??? 2010-04-11 PM01:51
前回は思わせぶりな内容の文章で、すいませんでした(笑)
続きですが、『なぜ、クロダイは元気なホタルイカをエサとして認識しないのか?』という長年の疑問についてです。
またコラムっぽくなるのをお許しください(笑)
ホント昔っから気になっていました。
漁港などの閉鎖されたエリア(死んだホタルイカが溜まりやすい)を除いて、サーフやテトラ帯での釣りにおいて、ルアーで仕留めたクロダイのお腹(胃袋)には全くホタルイカが入っていないという事実・・・同じポイントで釣れてくるメバル、シーバス、根魚、ウグイは吐き出すくらいに大量のホタルイカを捕食しているというのに・・・
そこで、魚類の行動性の研究を行っている小川健太郎教授に伺ってみました。
・・・と、内容をすべて書きたいのですが、難しくてワタクシにはそのまま表現できません
簡単にいくつか挙げてみますね。
●ホタルイカの光=危険信号、すなわち「発光体=毒」を意味する。
●イカ類の逃げ足の速さが異常!(無駄な体力を使ってまで追いたくない)
●欲す栄養素が産卵期のクロダイと合わない。
●寄生虫???
こんな感じだったと思います。
クロダイは神経質ということなのでしょうか(笑)
ここで、小川教授から以前お教えいただいた『群れの定義』について触れてみたいと思います。
この時期、クロダイはaggregationと言われる漠然とした魚群(偶発的魚群)を作って回遊しています。それら群れの定義は『社会性の集まり』とされており、社会性があります。一年を通して貝やカニ、海草などを捕食しているクロダイにとってこの時期だけ発生するホタルイカを捕食し始めるということは、「日本人にオーストラリアに行って、食用巨大イモムシを喰ってこい」←小川教授の表現w と同じことです。この新たな食料への一歩を踏み出すには、群れのリーダー(チャレンジャー)がホタルイカを捕食し始めなくてはいけません。(まずはリーダーが食べないと他の黒鯛もエサと認識しない)その事実に対して、ホタルイカ捕食の第一歩の邪魔をしている要因がいろいろ考えられ、それが上の4つです。
この中でも「光」と「逃げ足の速さ」が、黒鯛がホタルイカを含むイカ類を好まない原因と考えられるそうです。確かに黒鯛はもともと、「何かを追い掛け回す」という行動は、彼らの生活には必要のない行動ですよね、『なるべく無駄なカロリーを消費せずにエサを獲る』というのが自然界の絶対的な条件(摂理)です。それと、「光」についてですが、生物学上、『発光』というのは”毒”を意味します。特にイカ類の発光は”毒”の信号を意味します。
大阪湾においても、シーバスのスルメイカパターンというのがありますが、釣れてくる黒鯛がスルメイカを捕食しているということは、殆ど無いそうです。シーバスはパンパンに喰っているそうですが・・・。
富山の春と同じですね
では何故、この時期にルアーを追うのか・・・
追いたくなる時期だから
ですね(笑)
では、黒鯛はホタルイカを食べないのか?
食べます。上記のイカベイトの欠点を克服するもの・・・発光もしない、逃げないもの・・・それは『死にホタルイカ』です
どうしても『本当のホタルイカパターン』を意識して釣りをするのであれば、『死にホタルイカパターン』だと思います。
でも、生物学上の知識は知らないことにして、「どうか黒鯛はほたるいかが大好きであってほしい」と素直に願うのも富山県釣り人の素直さです(笑)その素直さが『ホタルイカの格好をしたルアー市場』を支えてくれていますから
『見た目から入る』悲しいことですが、ソルトルアー市場において常識的にそうなります。フィールドに長く居る釣り人ほどその無意味さを知っているようです。
しかし、ルアーの格好が『今食べているえさ』に似ていれば、釣れる気がするというのはモチベーション持続に強く貢献してくれます。
意外にそれが一番大事だったりますよね(笑)
ワタクシは『釣りは科学』だと思っています。生物を相手にしている以上、間違いないと確信しています。
釣りの本よりも専門書LOVEです