毒魚のお話し その2 2013-11-30 AM04:00
お早うございます。
いつも当店のブログをご覧下さりありがとうございます。
秋アニメでは「蒼き鋼のアルペジオ」「脳コメ」がお気に入りの明石店・岡田です。
本格的に寒くなってきました。
サビキ等のファミリーフィッシングの対象魚が少なくなり、釣り師としては寂しい季節がせまってきました。
そこで、こんな時こそお勉強タイム!という事でまた毒魚のお話しをほんの少しだけ書かせていただきます。
最後までお付き合いの程、よろしくお願いします。
前回はタンパク質系の刺毒魚であるアイゴやハオコゼ、ゴンズイについて書かせていただきました。
今回もクイズです。
この4魚種、全て正解でしたらお魚についてかなりの博識といえるでしょう。
正解は上から「キハッソク」「ルリハタ」「アゴハタ」「ヌノサラシ」です。
ヌノサラシのみスズキ属ヌノサラシ科で後の3種はハタ科に分類されます。
(アゴハタはいまだにヌノサラシ科に分類する方もいるようですが)
さてそれでは次の魚はご存知の方も多いと思います。
正解は「ハコフグ」ですね。
これらの5魚種には共通点があります。
それは皮膚から出す粘液に毒があるという点です。
ハコフグはパフトキシン、その他の4魚種はグラミスチンという毒を皮膚から分泌します。
(パフトキシンはハコフグのハワイでの呼び名「パフ」から来ています)
この2種の毒ですが、成分も名前も違いますが性質はとてもよく似ていて、魚に対する強い溶血性と毒性を持っています。
分かりやすくいいますと、これらの魚と他の魚を同じ水槽に入れると、他の魚は弱るか最悪は死んでしまいます。
この毒ですが高い界面活性作用があり水を激しく泡立たせます。
また強い苦味があるそうです。(誰が舐めたんでしょうね?)
余談ですが毒=苦いというイメージをお持ちではないですか?
毒キノコとして有名な「テングダケ類」が持っている「イボテン酸」という毒成分ですが、とても強い旨み成分でもあるそうです。
その旨みは味の素などの主成分「グルタミン酸ナトリウム」のなんと10倍以上というから驚きです。
ヨーロッパの一部ではアルコールに漬けて少量ずつ食用にしているそうです。
ちなみにハタの仲間4種は自身のグラミスチンで中毒はしませんが、ハコフグは自身のパフトキシンで中毒するそうです。
間抜けな話です。
ちなみに他に粘液毒を持っている魚としてはゴンズイや意外にもウナギにもあったりします。
ウナギは血液に「イクシオトキシン」という毒が有り、料理の際に血液が目に入ったりすると結膜炎を起こしますし、傷口から入ると激しく痛みます。
ちなみにこのイクシオトキシンですが60度で5分の加熱で毒性を失うので刺身等の生食をしなければ安全です。
ウナギの刺身が無い理由がおわかりいただけたでしょうか?
アナゴやウツボも同様の毒素を持っているようです。
(アナゴは一部で刺身で食されますが、切り身を水にさらしてしっかりと血抜きをしているそうです)
イクシオトキシンの毒性ですが中型犬ぐらいでしたら0.5グラムで呼吸困難に陥るほど強力です。
ウナギの粘液毒の毒性はイクシオトキシンよりも毒性の強いタンパク質なので、ウナギを素手で触った後はちゃんと手洗いをしましょう。
ハコフグ以外のフグ類の中には粘液にフグ毒のテトロドトキシンを持っている種類もいますので、これも手洗いが絶対条件です。
フグを触ったその手でオニギリやパン類など素手でつかんで食べるのは出来たら避けるのが無難です。
しかしこうやって考えると自然界って毒だらけですよね?
魚以外でも身の回りにちょっぴり怖い毒がたくさんあります。
スタミナ食材のニンニクもアリインという皮膚炎を起こす刺激分を含んでいるそうで、生で多食すると胃腸炎を起こす可能性が有りますし、綺麗な花「スイートピー」もアミノプロピオニトリルという脊椎を麻痺させる強毒を含んでいて、家畜に与えると死にいたる場合も有ります。
毒キノコである「ドクササコ」の毒の主成分「アクロメリン酸」の中毒症状など聞くだけで恐ろしいものです。(どんな症状かは長くなるので割愛させていただきますが、私はドクササコ中毒するぐらいならフグ毒に当たった方がマシだと思っております)
他にも数えきれない程、世界は毒だらけです!
毒って研究すればするほど面白いんですよ!
少なくとも知っていて損は無いという感じでしょうか。
今回は取りとめも無いお話になってしまいました。
またフェイスブックの「いいね」がたくさんいただけるようでしたら、今度は毒の強弱の判断基準である「LD値」に基づいてちょっぴりタメになる、ちょっぴり怖い自然界の毒についてお話したいと思います。
海産生物から若干外れる生物も出てくるかもしれませんが、ご理解くださいね。
最後に、本当に寒くなってきました。
もうすぐクリスマス、お正月と楽しくも忙しい時期がやって来ます。
皆様、お体には気をつけて風邪などひかれ無いようにお過ごしくださいませ。
冬の釣りですが、家を出るまでは覚悟がいりますが、出てしまえば案外快適で楽しいものです。
皆様も防寒対策をしっかりして、冬の釣りを楽しんでくださいね。