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毒魚の話 最終回  (店舗情報)|(釣果情報)2014-05-09 AM08:17

おはようございます。sun

いつも当店のブログをご覧下さりありがとうございます。happy01

春アニメは『僕らはみんな河合荘』『悪魔のリドル』がいいなぁと思っている明石店・岡田です。scissors

最近スランプで筆が進んでなかったのですが、やっと脱出できたようで、ついに毒魚の話の締めをさせていただこうと 思います。

少々長くなりますが興味を持たれましたらご一読下さい。

早速ですが毒の強弱を表す基準に『LD50値』というものがあります。

これは英語の『50%Lethal Dose』の略で訳すと『半数致死量』と呼ばれています。
(余談ですがLethalとはメル・ギブソンとダニー・グローヴァ―が出演していた映画『リーサル・ウェポン』のリーサルです。 意味は『致命的な』とか『必ず死に至る』とかと言った感じですね)

ある毒物をマウスやラット、モルモット等の実験動物に投与した場合にその半数が死亡する容量の事で、 投与した動物の50%が死亡する容量を体重1キログラムあたりの量(mg/kg)として表します。

50%値が用いられるのは統計学的にばらつきが少ないから、とされています。

たとえばLD50=0.02mg/kgという毒物を体重70キロの10人に投与したとして、0.02×70で1.4mgで5人が死亡するはずです。

ただこれはあくまで推定値であり多々の問題点を抱えています。

単純に70倍すれば良いのか!という問題ですね。shock

各種動物によって、毒に対する耐性や感受性が違うのです。

例を引くと、有名な幻覚剤『LSD』に対して、ネコは強い耐性を持っています。
ネコの体重比で割り出した量をゾウや人に投与するとたちまちに死に至ります。

新陳代謝の速度も計算しなくてはいけません。

回りくどくなりましたが、ここで言いたいのはLD50値が絶対的な ものでは無く、あくまでも目安として考えるべきと言う事なんですね。bleah

生物による毒を受けた場合は、それが経口か刺毒かどうかやその際の健康状態や刺された位置、受けた毒の量・ すぐに治療できたかどうかや体質によってLD50値は変わってくると言う事です。

最近、LD50値は動物愛護の観点から廃れつつあるようです。
(確かにそんな不安定な数値の為にマウスやラットを犠牲にするのはどうかとも思えますね)

参考までに各種生物毒のLD50値を調べてみましたので表記してみましょう。
海産生物以外も参考に表記してみました。
(数値が小さいほど毒が強力という意味です)

Medium 有名な毒グモ『タランチュラ』です。
種類にもよりますが、」致死量はLD50値=50mg/kgで、この程度ではよほどでないと人間は死に至りません。

Medium_2 たまに釣れる『アカエイ』ですが致死量はLD50=28.0mg/kgでこのくらいになると刺されたた場所によっては死に至ります。
事実、オーストラリアの著名な自然保護活動家スティーブ・アーウィン氏が2006年にダイビング中に胸を刺されて死亡しています。
心臓近くを刺されたのが致命的だったようで、ほぼ即死状態だったそうです。
指された場所が重要という証左ですね。

Medium_4 沖縄の毒蛇『ハブ』ですがLD50=3.42mg/kgと言われています。
出血毒と言われる体細胞や組織を破壊する毒で、後遺症が残る事が多いくせ者です。
血清が有効ですが、咬まれた場所の壊死などが起こる事が多いです。

Medium_6 超有名な毒蛇『キングコブラ』ですがLD50値は意外と低くLD50=1.7mg/kgです。
ただ一噛みで注入される毒の量が多いので極めて危険です。
神経毒で、脳から筋肉に出される「呼吸しろ」や「心臓を動かせ」と言った電気的命令を遮断するので呼吸麻痺等が起こり死に至ります。
人間の致死率は7割以上ですが、後遺症が残りにくいのが救いでしょうか。
ちなみにゾウでも快心の一噛みを柔らかい部分に受けると、3時間ほどで死亡します。

Medium_7 水族館でお馴染みの『ミノカサゴ』ですがLD50=1.1mg/kgと結構強力です。
単純な毒の強さならコブラよりも上ですね。
毒の主成分はタンパク質なので、刺された場合は50度程度に温めて痛みが引くのを待ち、医師の診察を受けて下さい。

Medium_8 魚類最強はこいつ『オニダルマオコゼ』でLD50=0.8mg/kg(皮下)、運悪く静脈にでも毒針が入ればLD50=0.2mg/kgと圧倒的です。
南太平洋の珊瑚の海に主に生息する魚ですが、海中で刺されると痛みによるパニックで溺死する事が多いそうです。
まともに踏みつけるとビーチシューズなどは簡単に貫通する強力な毒棘を持っているので要注意です。

Medium_9 海産生物の次は『オニヒトデ』でLD50=0.14mg/kg。
サンゴを食い荒らす嫌われ者ですが、時たま大発生します。
大発生時は10m四方に4~5匹程度居るので計算すると1平方キロに4万匹以上いる計算ですね。
大発生していない平常時には1平方キロに2~6匹と言われてますので、むしろ珍しい生き物です。
私も生で見たのは高知県土佐清水市の三崎漁港で見た事があるだけです。
棘皮動物とは思えない移動スピードで、ジグで引っかけて上げようとしたものの、あまりの重さに海面から持ち上げる事が出来ませんでした。
ちなみに刺されると刺された部位が壊死したり、関節付近だと関節が曲がらなくなるなどの後遺症が残る事もあるそうです。
この毒も60度で変質して、効力を失うそうです。
こんな猛毒生物にも天敵があり、修験者が吹いているホラ貝にかかるとひとたまりも無く食べられるそうで哀れですね。

Medium_10 最近すっかりメジャーな『ヒョウモンダコ』ですがLD50=0.02mg/kgと超強力です。
毒はフグ毒と同じテトロドトキシンで、ひと噛みで注入される毒は成人7人の致死量にも至るそうで恐ろしい限りです。
日本でも神奈川県辺りまで生息が確認されているので注意が必要です。
ちなみにタコのくせに墨は吐きません。
余談ですが明石でもおなじみの『マダコ』にもクチバシに『チラミン』という毒素が有り、体質によっては咬まれると痺れを感じたりするそうです。

Medium_11 こいつは恐ろしい『アンボイナガイ』
LD50=0.012mg/kgで紀伊半島以南の海に生息しているそうです。
唾液腺が毒腺になっていて、矢のような形をした、かえりのあるモリの様な歯(歯舌)を打ち込んで魚などを補食します。
神経毒なので呼吸を保てれば助かる率も高く、死亡率は2割程度(呼吸確保出来ればですが)です。
ちなみに『アンボイナガイ』を含むイモガイ類は大なり小なり毒があるそうなので、見た目の美しさに惹かれて手を出すのはよした方が良いですね。
余談ですがこんなアンボイナガイにも天敵がありまして、同じイモガイ類の『タガヤサンミナシ』にかかると、あっさりと捕食されてしまうそうです。

Medium_12 オーストラリアやニューギニア・ベトナム南部やフィリピンに行く方は気をつけましょう。
キロネックスと呼ばれる事が多い『オーストラリアウンバチクラゲ』でLD50=0.001mg/kg。
沖縄にいる『ハブクラゲ』の近縁種ですが、ずっと大きくて秒速1.5メートルで泳ぐほど遊泳力も強く、恐ろさはクラゲ界№1です。
死亡事故も多数報告されている恐ろしいクラゲです。
刺されたら真水で洗わずに酢をかけて洗い流すのが有効とされていますが、刺された後は紫色の跡が長く残るそうです。
ただ毒棘は短くてパンスト程度の厚みがあれば防御できるので参考までに。

Medium_13 海産物№1は『マウイイワスナギンチャク』をはじめとするイワスナギンチャク類でLD50=0.0005mg~0.0001mg/kg。
毒素は以前のソウシハギのブログで触れた『パリトキシン』で、刺されると心筋・肺血管を収縮させ赤血球を破壊するので窒息するように死亡します。
マウイ島ハナ湾では祟りがあるとされて触れる事はタブーとされていました。
実際、採取・研究したオアフ島にあるハワイ大学の研究室が火災で焼け落ちたり、研究者の1人が高熱で倒れたりしたそうで、まさか祟りとは思えませんが・・。
ちなみにパリトキシンですが青酸カリの8000倍程の超強力な毒素で、成人で0.000004グラムが致死量とされています。
触れたら終わりですね・・このレベルになると。
海産物最強の毒素と言われていますが、納得のレベルです。
(サザナミハギ等から見つかっている『マイトトキシン』も強力でLD50=0.0000025mg/kgとパリトキシンと1位の座を争ってます)

16世紀スイスの医師で錬金術師のパラケルススは『すべての物質は有毒である』と言ってのけました。

確かに水でも飲み過ぎて中毒死した例もあるのであながち間違いではありません。

LD50値に基づいて生物毒について説明してきましたが、人工毒では中国の毒餃子で有名になった『メタミドホス』LD50=16~21mg/kg、 『青酸カリ』でLD50=3.0mg/kg、『サリン』LD50=0.05~1.1mg/kgと幅があります。

精製の純度やその時の温度・湿度等に左右される不安定さで、今ひとつ参考になりません。

自然界最強の2巨頭はボツリヌス食中毒の毒素『ボツリヌストキシン』LD50=0.0000011mg/kgと破傷風菌の毒素『テタヌストキシン』LD50=0.000002mg/kgでしょうか。

『テタヌストキシン』はトキソイドと言うワクチンで簡単に抗体を得られますし、1984年に真空パックの辛子蓮根 で36人が中毒して11人が死亡して有名になった『ボツリヌストキシン』は100度で1分ほどの加熱で無毒になります。 500グラムで全人類を死滅させる事が出来る『ボツリヌストキシン』もあっさりしたものですね。

さて、2013年8月より長々と毒魚について書いてきましたが皆様は何か得るものがありましたでしょうか?

もしも参考になった!と仰っていただければ幸いです。

ソウシハギから始まった毒魚シリーズ、これにてお開きです。

次回のブログからはわが店のある明石で釣れるお魚についてビギナー向けの釣り方や、遠方から明石に釣りに来られた方が釣りのついでに楽しめるような、明石についてのよもやま話について書きたいと思います。
(直接釣りに関係のない話も出てくると思いますが、そこはご容赦くださいませ)

追記-暖かくなりましたね。
本格的な釣りシーズンに入ってきました。
私もそろそろ親イカや、日本海への遠征に出かけねばと思っております。

アングラーズグループは一丸で皆様の楽しい釣りをサポートさせていただきますので、今後ともよろしくお願いします。


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